日本の山村生活の中で、焼畑が行われてきた地域はいくつか存在するようです。東北地方、中部地方、四国・九州地方。
※「アラキ」「カノ」、「ナギハタ」、「コバ」と分類される。
白山麓の焼畑は、中部地方の「ナギハタ」発祥とも言われている。
焼畑は主に3形態から成り、稗(ひえ)を主役とするヒエナギ、越冬野菜の大根やカブを主役とするナナギ、ソバ栽培を主役とするソバナギに分類されるようです(火入れの初年度に播種する作物名に由来する)。
今回は、大根と株の種をまいたので、焼畑としては「ヒエナギ」になります。
白峰では、焼畑農法を中心とした「出作り」という特異な住居形態をもちつ技法が使われ、夏だけ出作り小屋に移住して行う「季節出作り」と、一年中居住しながら行う「永久出作り」があったようです。
雑草、雑木などを焼き払う焼畑から始まり、
草木の乾燥→草木を段状に組む(代作り)→火入れ→焼けた斜面に鍬入れしナギカリ(薙刈り)
そして、播種を行う。
草木をなぎ倒して焼くので、「ナギハタ」とも言われるそうです。
栽培作物;
稗(ヒエ)、カブ→粟(アワ)→大豆、小豆→カマシ(シコクビエ)や小豆
5年くらいの輪作の後、休耕地(休閑年;20~30年)として地力の回復を待つのが一般的。
何区画にも分けた斜面を1年づつ焼畑して行くことで、それぞれの作物を得ることができます。
施肥を行わず、焼畑で生じたその灰を栄養分として栽培作物を育てることができ、焼くことによる消毒、害虫駆除、殺菌、灰による栄養補助などの効果が考えられるが、焼畑で育てた「焼畑大根」や「焼畑カブラ」がどうしてこんなにおいしいのかは未だによく分かっていないらしいです(収穫が楽しみ!!)。
収入源というよりは、山間部の田畑が少ない所での自給穀物・野菜の栽培が主目的だったようです。
越冬野菜として、大根やカブラが重宝され、保存食の文化とともに、厳しい山間部での生活を支える重要な農法だったようです。
当日は、「白山麓の焼畑農耕」(白水社)の著者である橘 禮吉先生もお越しになり、講演会も開かれました。
山村の複合的に稼ぐ生活ぶりの中での、焼畑、養蚕、炭焼き、山の案内人、工芸などの繋がりと広がりの大きさを感じました。
西村 俊
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